橈骨遠位端骨折
橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)は、手首に近い橈骨の末端部分が骨折する疾患です。特に転倒時に手をついた際に発生しやすく、高齢者や骨粗鬆症のある方に多く見られますが、若年層でもスポーツや事故などで強い衝撃を受けると発生することがあります。
当院の院長は過去に橈骨遠位端骨折診療ガイドライン委員を務めており、この疾患の治療に精通しています。骨折部の転位(ずれ)が大きい場合には、掌側ロッキングプレート固定による手術治療が非常に有効であり、より早期の機能回復を目指した治療を行っています。
橈骨遠位端骨折で見られる主な症状
骨折の直後から手首に激しい痛みが生じ、短時間で腫れが広がります。見た目でわかる変形を伴うことも少なくありません。
| 痛みと腫れ | 手首周辺に強い痛みが生じ、著しく腫れ上がります。 |
|---|---|
| 手首の変形 | 折れた骨がずれることで、手首がフォークの背のように変形します。 |
| しびれ | 折れた骨や腫れが正中神経を圧迫し、指先にしびれが出ることがあります。 |
| 可動域制限 | 痛みや骨のずれにより、手首や指を動かすことが困難になります。 |
診断のための検査方法
正確な診断と治療方針の決定のために、以下の検査を実施します。
| X線検査 | 骨折の有無や位置、骨のずれ具合を正確に確認します。 |
|---|---|
| CT検査 | 関節内まで骨折が及んでいる場合の詳細な評価に非常に有用です。 |
状態に合わせた適切な治療法
骨折の種類やずれの程度に応じて、保存療法または手術療法を選択します。
保存療法:骨のずれが少ない場合
骨のずれが少ない、あるいは徒手整復(手で骨を元の位置に戻す処置)で安定する場合は、手術を行わずに治療します。シーネやギプス、固定装具を用いて患部を固定します。固定期間は通常4〜6週間程度で、その後段階的にリハビリテーションを開始します。
手術療法:骨のずれが大きい場合
骨のずれが大きく、徒手整復で戻らない場合や、関節面に骨折が及んでいる場合は手術を検討します。当院では、伝達麻酔を用いた日帰り手術を実施しており、身体への負担を最小限に抑えた治療が可能です。
手術の流れ
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麻酔の実施
伝達麻酔を行い、痛みを抑えた状態で手術を開始します。全身麻酔ではないため体への負担が少なく、術後の回復もスムーズです。 -
骨の固定
掌側ロッキングプレートを使用して、折れた骨を正確な位置で強固に固定します。 -
術後のリハビリ
固定強度が確保されているため、術後早期から指や手首を動かすリハビリを開始し、機能回復を促進します。
伝達麻酔による日帰り手術のメリット
当院では患者様の日常生活への早期復帰を重視し、日帰り手術を積極的に取り入れています。
- 全身麻酔を必要としないため、術後の身体的な負担やリスクが軽減されます。
- 入院の必要がないため、費用を抑えつつ住み慣れた自宅で療養いただけます。
- 掌側ロッキングプレートにより高い固定強度が得られ、早期のリハビリが可能です。
注意が必要な合併症
治療にあたっては、稀に以下のような合併症が起こる可能性があるため、慎重な経過観察を行います。
| 神経損傷 | 正中神経の圧迫により、指のしびれが残ることがあります。 |
|---|---|
| 腱損傷 | 骨の変形やプレートとの摩擦により、指を動かす腱が傷つくことがあります。 |
| 関節の拘縮 | 適切なリハビリを行わないと、手首の動きが硬くなってしまう場合があります。 |
リハビリテーションと回復までのプロセス
早期に日常生活へ戻るためには、適切な時期からのリハビリテーションが欠かせません。
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術後1〜2週間
指や肩の関節が固まらないよう、患部以外の軽い運動から開始します。 -
術後4〜6週間
装具を取り外した後、手首の可動域を広げる訓練や筋力強化を本格的に行います。 -
術後3カ月
骨の癒合が進み、日常生活の動作がほぼ支障なく行えるようになります。
骨粗鬆症対策による再骨折の予防
特に高齢者の橈骨遠位端骨折は、骨粗鬆症が背景にあることが非常に多いのが特徴です。一度骨折を起こすと、反対側の手首や股関節、脊椎などの「二次骨折」を起こすリスクが高まります。
当院では骨折の治療だけでなく、骨密度検査を積極的に推奨しています。診断結果に基づき、適切な薬物療法や生活指導を行うことで、将来の骨折予防に努めています。
まとめ
橈骨遠位端骨折は、早期の適切な診断と治療、そしてリハビリによって良好な回復が期待できる疾患です。当院では専門的な知見に基づき、掌側ロッキングプレートを用いた精度の高い治療を提供しています。
「手首を強く打った」「腫れや痛みが引かない」「指にしびれがある」といった症状がある方は、放置せずに当院までご相談ください。
