へバーデン結節
ヘバーデン結節について
ヘバーデン結節は、指の第一関節(DIP関節)に生じる変形性関節症で、関節の腫れや変形、痛みを引き起こします。特に40歳以上の女性に多く見られ、手を酷使する人に発症しやすい傾向があります。近年は閉経にともなう女性ホルモンバランスの変化に関連するという報告もあります。進行すると関節が変形し、指の動きが制限され、日常生活に影響を及ぼすことがあります。
ヘバーデン結節の主な症状
主な症状
DIP関節の腫れや痛み(特に動かすと痛みが強まる)
関節の変形(指先が曲がり、関節が太くなる)
関節のこわばりや動かしにくさ
進行すると関節が固まり、可動域が制限される
ヘバーデン結節の治療方法
ヘバーデン結節の治療には、保存療法と手術療法があり、症状の進行度に応じて適切な治療を選択します。
保存療法(初期段階)
装具療法(指の固定)
薬物療法(消炎鎮痛薬・関節内注射など)
リハビリテーション(関節の柔軟性を保つ運動)
しかし、関節の変形や痛みが進行し、日常生活に支障をきたす場合には手術が検討されます。
ヘバーデン結節の手術治療
関節固定術
特徴
痛みのある関節を固定し、関節の安定性を向上
母指(親指)のDIP関節では第一選択、それ以外の4指でも適応される
手術の目的
✅ 関節の痛みを取り除く
✅ 指の安定性を向上させ、握力を確保する
手術の流れ
1️⃣ 局所麻酔または伝達麻酔で手術を実施
2️⃣ DIP関節の軟骨を除去し、骨同士を癒合
3️⃣ 金属ピンやスクリューで骨を固定し、関節を完全に動かなくする
4️⃣ 術後6~8週間で骨が癒合し、制限なく手が使える
人工関節置換術
特徴
従来は関節固定術が主流だったが、近年は人工関節置換術も選択肢に
特に示指・中指・薬指・小指のDIP関節に適応されることが多い
手術の目的
✅ 関節の痛みを取り除く
✅ 関節の可動性を維持・改善する
✅ 指の変形を矯正する
手術の流れ
1️⃣ 局所麻酔または伝達麻酔で手術を実施
2️⃣ 変形したDIP関節の骨を削り、人工関節(シリコン製)を挿入
3️⃣ 関節の動きを確認しながら調整し、固定
4️⃣ 術後は約2ヶ月の外固定を行い、その後指のリハビリを実施
手術のメリット・デメリット
メリット
✅ 関節の痛みがなくなる(関節固定術)
✅ 関節の動きを維持しつつ、痛みを軽減できる(人工関節置換術)
✅ 親指やその他の指の安定性が向上し、しっかり握ることが可能
デメリット
⚠️ DIP関節が動かなくなるため、細かい動作がやや制限される(関節固定術)
⚠️ 人工関節の耐久性が限られており、破損した場合には再手術が必要になることがある(人工関節置換術)
⚠️ 手術後のリハビリが重要で、適切に行わないと可動域が制限される
まとめ
ヘバーデン結節の手術では、母指(親指)では「関節固定術」が第一選択となることが多く、その他の4指(示指・中指・薬指・小指)では従来は「関節固定術」が主流だったが、近年は「人工関節置換術」も選択肢の一つとなっています。
どの手術を選択するかは、患者の症状の進行度や生活スタイルを考慮し、手外科専門医と相談の上で決定することが重要です。
当院では、ヘバーデン結節に対する保存療法・手術療法・リハビリテーションを提供し、患者様の手の機能回復をサポートしています。
「指の第一関節が腫れている」「関節の痛みが強い」「指が変形してきた」 などの症状がある方は、お気軽にご相談ください。