ブシャール結節
ブシャール結節について
ブシャール結節は、指の第二関節(PIP関節)に生じる変形性関節症の一種で、関節の腫れや変形、痛みを引き起こします。主に加齢や遺伝的要因、関節への長年の負担が原因となり、中高年の女性に多く発症します。近年では閉経に伴う女性ホルモンバランスに起因する屈筋腱滑膜炎との関連についても報告されています。関節の軟骨が摩耗することで、骨の変形や可動域の制限が生じ、症状が進行すると日常生活にも支障をきたすことがあります。
ブシャール結節の主な症状
主な症状
指の第二関節(PIP関節)の腫れ・痛み
関節の変形(関節が太くなる)
関節のこわばりや動かしにくさ
進行すると関節が固まり、指を伸ばしにくくなる
ブシャール結節の治療方法
ブシャール結節の治療には、保存療法と手術療法があり、症状の進行度に応じて適切な治療を選択します。
保存療法(初期段階)
装具療法(指の固定)
薬物療法(消炎鎮痛薬・漢方薬など)
リハビリテーション(関節の可動域獲得)
しかし、症状が進行し関節の機能が大きく損なわれた場合には、手術が必要になることがあります。
ブシャール結節の手術治療
浅指屈筋腱切除術(FDS切除術)
特徴
初期から中等度の段階で適応されることが多い
浅指屈筋(FDS)が過剰に緊張することで指のこわばりが悪化する場合に適応
手術の目的
✅ 浅指屈筋腱の一部を切除し、PIP関節の負担を軽減
✅ 関節の可動域を改善し、指の動きをスムーズにする
手術の流れ
1️⃣ 局所麻酔下で手術を実施
2️⃣ 指の浅指屈筋腱を切除
3️⃣ 必要に応じて関節の滑膜切除を併用
4️⃣ 術後は装具やリハビリを行い、可動域を確保
この手術は、関節の変形が進行しておらず、可動域の制限を改善したい場合に有効です。
人工関節置換術(PIP関節人工関節手術)
特徴
PIP関節の変形が進行し、強い痛みや関節の動かしにくさが日常生活に支障を与える場合に適応
重症例に適応されることが多い
手術の目的
✅ 関節の痛みを除去し、指の機能を改善
✅ 関節の可動性を確保し、変形を矯正
手術の流れ
1️⃣ 局所麻酔または伝達麻酔下で手術を実施
2️⃣ 変形したPIP関節の骨を切除し、人工関節(シリコン製や金属・ポリエチレン製)を挿入
3️⃣ 関節の動きを確認しながら調整
4️⃣ 手術後、早期にリハビリを開始し、指の可動域を回復
手術のメリット・デメリット
メリット
✅ 関節の痛みが大幅に軽減される
✅ 指の可動域が改善される
デメリット
⚠️ 術後のリハビリが必要(約6週間~数カ月)
⚠️ 人工関節の耐久性が限られており、破損した場合には再手術が必要になることがある(再置換術または関節固定術など)
まとめ
ブシャール結節の手術は、初期から中等度で関節の変形が少なく軟骨が残存している場合には「浅指屈筋腱切除術」、重症で関節軟骨が消失し変形が大きな場合は「人工関節置換術」が選択されます。いずれの手術も、専門の手外科医による適切な診断と治療計画が重要です。
当院では、ブシャール結節に対する保存療法・手術療法・リハビリテーションを提供し、患者様の手の機能回復をサポートしています。
「指の第二関節が腫れている」「関節の痛みが強い」「指が変形してきた」 などの症状がある方は、お気軽にご相談ください。